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パルチザン多摩の考現学

ボツになった企画を記事にしていく。

『日ペンの美子ちゃん』インスパイア漫画

漫画

 人は誰しもが、一時なにかしらにハマってしまう。アイドルであったり、アニメであったり、食事であったりと、時期や周りの環境によってさまざまだ。

 

 そうした、いわゆるマイブームは、自己完結してしまうと、それまでである。いずれ、忘れてしまう。そのため私は、備忘録として残す必要があると考え、このブログを立ち上げた。

 

 そんな前置きがあって、第1回目で発表するのが、「『日ペンの美子ちゃん』インスパイア漫画」である。しょっぱなから、ニッチであり、誰も興味がなさそうだ。

 

日ペンの美子ちゃん(にっペンのみこちゃん)』とは、日本ペン習字研究会(日ペン)と、同会が実施しているがくぶん総合教育センターのボールペン習字通信講座のイメージキャラクターであり、また彼女を主人公にした広告漫画のタイトルである。1972年に芸能雑誌『月刊明星』(現・Myojo)の広告に初登場し、少女漫画誌、学研、旺文社の出す中高生向け学年誌の裏表紙に掲載されていた(WIKIPEDIA引用)。

 

 今を生きるキッズたちには、記憶術や漫画家セットの広告漫画のようなものと、説明すればわかりやすいだろう。

 

 時代が移るにつれ作者も変わり、1999年には雑誌広告から撤退し、作者が5代目になった今でも日ペンのイメージキャラクターとして、ホームページ上では毎月1本新作漫画が読めるというが、4月から更新されてない。きっと、日ペンの教材や月報に載っているのだろう。ちなみに、広告漫画ゆえ、長らく書籍化はされなかったが、2004年に創価学会系の第三文明社より『あの素晴らしい日ペンの美子ちゃんをもう一度』が出版されている。手塚治虫の『ブッダ』といい、たまにいい仕事するね。

 

 歴史考察や、絵柄の変遷、たまにある電波っぽい話については、他を見てもらうとして、ここでは、この漫画から影響を受けたというか、むしろパクったというほうが正しい、『日ペンの美子ちゃん』インスパイア漫画について言及する。

 

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 『日ペンの美子ちゃん』は縦3コマ×横3コマで美少女の美子ちゃんが、字が綺麗である特技を活かしてモテたり、いい思いをしようとするが、オチではドジをしてしまうというもの。まぁ、要は日ペンのペン字講座を習うと、スゴくいいよと、まるで映画『ゼイリブ』の世界並みのストレートなプロパガンダである。当時の漫画らしく、ウィンクすると星が瞬いたり、犬かウサギだかわからないマスコットも登場するのも乙。

 

 これとまったく同じフォーマットを真似たのが、満開製作所が、『Oh!X』や『ゲームラボ』などの、広告として掲載していた『満開の電子ちゃん』。

 

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 1989年から始まったというので、完全なるパロディとして描かれていたと思われる。本家と比べてキャッチコピー以外の宣伝活動はあまり見られず、シュールな展開が目立つも当時のオタク的な同人誌イズムか。2000年頃に『電脳倶楽部』(フロッピーディスクを媒体としたディスクマガジンというサイバーパンクな雑誌)が廃刊するまで続いたというが、書籍化はされていないが、いくつかの作品は満開製作所の広告ライブラリーで見られる。

満開製作所の広告ライブラリ - 書籍・雑誌 - X68000 LIBRARY

 

日ペンの美子ちゃん』と同時期か、『満開の電子ちゃん』の間かは不明だが、一部では未だにアイドル視されている○子ちゃんもいる。それが、田宮模型(現・タミヤ)のプラモデルに同梱されていた『模型講座』というフライヤーに掲載されていた『プラモのモ子ちゃん』である。

 

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 模型の作り方や、工具・塗料の扱い方を、うさぎのマスコットキャラといっしょにレクチャーしてくれる。しかも、結構マニアックというか上級者向けである。また、前述した2作品と違い、どちらかというと『プラモのモ子ちゃん』はオタクに媚びた萌えキャラ的とも考えられる。ただ、その戦略が功を奏し、『モ子ちゃんのプラモ製作ガイドブック』『モ子ちゃんの塗装ガイドブック』『モ子ちゃんのRCガイドブック』など、同梱されていた『模型講座』以外にもカラーで書籍化展開されている。そりゃ、自分のマニアックな趣味を認めてくれるわ、サポートしてくれるわ、偏った知識はあるわで男受けするでしょう。その結果、未だにPixivではエッチなモ子ちゃんを拝めることができるのだ。ただ、私はプラモデル製作が趣味だった父が、当時、モ子ちゃんで致してないことだけを今は祈るばかりだ。

 

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 出典元は不明だけども、こんなバグった回もあったらしい。

 

 そして、最後に登場するのが、今なお続いている『日ポン語ラップの美ー子ちゃん』だ。 

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  こちらはヤングジャンプテラフォーマーズの公式スピンオフ漫画を描いている漫画家の服部昇太先生が、インターネットで不定期に発表しているもの。これまでの3作品と違い、こちらは作者がパロディ同人として描いているため広告要素が一切ない。つまり、商業部分が形骸化したパロディの究極系であるともいえる。ただ、広告要素がないとはいえ『日ポン語ラップの美ー子ちゃん』では、作者が好きな日本語ラップがゴリ押しされているところは、他のインスパイア形と変わらない。

 

 ここまで、4作品見てきたが、共通する部分はコマのフォーマット、キャラクターの描き方、宣伝の仕方と、インスパイア系というだけあり、当然ちょこちょこ見つかるが、それではパロディ元である『日ペンの美子ちゃん』と違う点というのはなんだろうか? それは、インスパイア系のメインの読者層が男性であるという点かもしれない。

 

 そもそも、『日ペンの美子ちゃん』は主に少女向けの雑誌に掲載されていた広告であるため、当然日ペン側が狙っていたターゲット層も雑誌と同じ少女である。大まかな内容は、美子ちゃんが白馬の王子様に憧れたり、社会進出を目指したり、部活に精を出したり。時代によって変化する少女の憧れと、少女漫画におけるヒロイン像の変遷を体現している。同時に連載当時は流行りであった髪型や絵柄が伝統美と化し、徐々に少女漫画のあるあるネタとなっていく。そして、少女漫画を断片的にしか読まない男性読者が、少女漫画のあるあるネタを「おもしろさ」として享受し、パロディにしていった結果、インスパイア系が生まれたように思われる。

 

 『日ペンの美子ちゃん』が少女を応援し、少女漫画におけるあるあるネタを描いてきたとしたら、インスパイア系は後者のあるあるネタのみを引き継ぎ、今度は少年の憧れを体現しているともいえよう。現実ではプラモ、パソコン(90年代前半)、日本語ラップが好きと公言してくれる美少女は少ないだろう。それが、各漫画の◯子ちゃんたちは、自分たちが持ち合わせている知識の斜め上からやって来る。オタサーの姫とまでは言わないが、少年漫画に出てくるような主人公の実力を見出してくれる先輩みたいなものだろう。「彼女は自分を理解してくれる」。そうすると、モ子ちゃんのように、徐々にアイドル化していくのか。

 

 まぁ、結局は同じ趣味を持つ作者の主張を、かわいい女の子が代弁してくれるということと言えるだろう。この辺りは、Twitterにおける「学術たんbot」と類似しているようにも思える。野郎が言っても流されるマニアックな意見を、かわいい女の子に代弁してもらった方が食いつきはいい。

 

  つまり、『日ペンの美子ちゃん』インスパイア漫画は、男性層をターゲットにした作者が、ナビゲーターとして女の子を用いるために、自らの心情を代弁できるツールとして『日ペンの美子ちゃん』をパロディにしたように考えられる。と、野郎が考察してもしょうがないので、ここまではパル子©︎(♀)がお送りしましたー♩